10月11日にも行ったんですが、村上町屋商人会会長の吉川真嗣さんを取材できなかったので、再度尋ねることにしました。
城下町村上の町人街の名残が残る「町屋」地区。
間口が狭くに奥に細長い。道路に面した店、吹き抜けの茶の間、台所・座敷、蔵と並び、店から奥まで土間の通路が通っている造りの建物は、江戸、明治時代のものも少なくありません。
映画で森太熊の家となった吉川酒舗さんの主屋は文政10年(1827年)の建物。
吉川酒舗さんの親戚関係にある吉川真嗣の家「味匠 喜っ川」は、大火直後の明治25年(1892年)に建てられたものと言われています。
そんな町屋に道路拡幅の計画が持ち上がったのが平成9年のことでした。
道路拡幅によって古きよき町並みが損なわれては、町は絶対に活性化しないと確信し、町屋の魅力にスポットを当て、多くの人が価値を認めるようなプロジェクトを次々と打ち出します。
平成12年に各家々にある雛人形を見てもらう「町屋の人形さま巡り」をスタート。
伝統ある雛人形を見ようと訪れた人たちに、飾られた人形たちの素晴らしさはもちろん、その家々の風情や佇まいが深く感動を与え、大成功となりました。
その後、「町屋の屏風まつり」、「宵の竹灯籠まつり」、「十輪寺えんま堂骨董市」などのイベントを実施。
さらに、塀を黒塀にして町屋らしい風情のある小路にしようと、黒塀一枚千円の寄付を募った「黒塀プロジェクト」、10年で1億の基金をつくって店舗の外観改装に補助する「町屋外観再生プロジェクト」を実行しています。
「まだ20点から30点の出来ですよ。店をやめた家もありますからね、もっと町が活性化しないと」とこれまでの成果を控えめに話す吉川さん。
それでも「店舗の外観にしか補助しないんですが、内装も全部改装するんですよ。それだけでいろんな業界に経済効果があるし、店も売り上げがアップします。そして何より店の人たちが仕事が楽しいと思うようになったことが大きいですね」と手応えを感じています。
「ちょうど始めたばかりなのが『緑3倍プロジェクト』です。黒塀の通りに木を植えています。黒塀に緑が映えるんでとても好評で嬉しいですね」と、また新たなプロジェクトも始動。「構想はいろいろ考えるんですよ、でも実行する時は何も考えない(笑)。考えすぎると恐くて出来ません。でも壁にぶつかっても、どこかに抜け道があったり、誰かが手をさしのべてくれたり。信念を持ってやっていると何とかなるもんですね」
道路拡幅という町内の決め事に異を唱えた吉川さん。相当な苦労があったと思います。
「全国の町並み300カ所くらいを尋ね、キーマンにお会いしてまちづくりの勉強をしてきました。そういう方々からたくさんの励ましやアドバイスをいただきました。そして、やっぱり家族ですね。家族が応援してくれなかったらきっと潰れていたでしょうね」
町屋保存、再生に取り組み初めて10年、理解を示し協力してくれる人が増えてきたという吉川さん、「今年が一番幸せだなぁと実感しています」と、はにかみながら笑った表情が印象的でした。
参考文献「村上の町家と町並み景観」(財団法人日本ナショナルトラスト2003年)
(辛子明太子)
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